日本財団 図書館


 

回している道路は、幅員四mと狭い。

 

三 活動状況
一三時一八分一一○番に通報が入り警察を経由して消防に通報された火災である。消防署からは、指揮車、タンク車等の計六隊が、さらに消防団の普通ポンプ車等、計五台が出動した。
現場は、本署から七〇〇mと近距離にあり、本署隊が出動して現場への直線道路へ出た時点で、吹雪の中、西からの強風にあおられてなびく黒煙と炎を視認した。
現場到着時、出火建物の作業所併用住宅は、既に屋根の一部が焼け落ち猛烈な火炎を吹き出し、隣接の建物に延焼中であり、拡大の様相を呈していた。現場到着した指揮隊は、ただちに第二出場を指示した。

011-1.gif

先着隊は、北側への延焼を阻止すべく隣棟建物との間にホースを延長し延焼防止にあたるとともに、南側の幅員四mの市道で強風にあおられる猛火と輻射熱の中、南側住宅への延焼阻止に全力をつくし成功した。
さらに後着の三隊は、計六線のホースを延長し包囲体制を取りながら懸命に消火活動にあたった。しかし強風により放水が吹き飛ばされ有効注水ができず消火活動は困難を極めた。各隊の包囲体制が完了し懸命な消火活動の結果一五時一九分に火勢を制圧した。
しかし、作業所内の製品及び空地や屋根の上に、乾燥させるため積んであった大量の板材のため消火作業は困難を極めた。人力では限界があったため建設機械を投入して、残火処理にあたり一九時〇四分にようやく鎮火した。

 

四 まとめ
本火災において、幅員四mの道路上で消火活動にあたった消防隊員二名が、輻射熱により顔面及び前腕に二度の熱傷を負い隊員の安全管理に課題を残したこと、また厳寒の猛吹雪の中で長時間にわたる消火活動で隊員の健康管理に課題を残したこと等をふまえ、防御体制、個人装備、交代要員の早期確保等隊員の健康管理について検討を進め消防活動の充実に努めているところである。
(佐藤丈彦)

 

救急・救助

崩壊 道路工事用大型クレーン車転倒
東京消防庁

 

ここに紹介する事例は、東京都民の奥庭とか水源といった色々な言葉で形容され、都民に親しまれている奥多摩湖の周遊道路で、大型クレーン車が谷側の法面に転倒し、オペレーター一名が運転席内で脱出不能となった事故で、霧が立ちこめ、崩落危険と更にクレーン車の転落危険がある中での救助活動事例である。

 

一 事故概要
(一)発生日時
平成八年五月九日 四時一〇分頃
(二)発生場所
東京都奥多摩町川野 奥多摩周遊道路

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION